小規模な人生でもたのしみたい

たいしたことはできてないけど、日々楽しく幸せに生きたい人間の自分用メモです。何か少しでも誰かの役にたったらうれしいなとおもいます。

ほくろ切除という自分の一部との別れ備忘録

ついに、顔面に鎮座する立体ほくろチャンとお別れしてきた。
跡地を見るのはほぼ1日後。

ドキドキした手術で起きたことをメモしておく。

 

病院で呼び出されると、優しい看護師さんがお手洗いはどうかと聞いてくれた。
その気もないけど不安を誤魔化すように
「ではちょっと」なんて言って借りた。

そして手術室へ案内された。
荷物や上着を置いた後、髪の毛を覆う紙の帽子を渡される。
こういうのはうまくできないが、後で看護師さんが直してくれた。
手術台に乗り、体にタオルをかけられ、襟元をカバーされると
台が上げられ、ライトの確認があった。

優しい人を目の前にすると鬱陶しい性格が促すので
「痛いんですか?」と看護師さんに聞くと、
麻酔をするので引っ張られていると感じるくらいだろうと言われた。
「みなさん緊張されるんですよ。痛いのは麻酔のときくらいですね。痛ければ麻酔を増やすことも」と優しく言われた。
痛いので麻酔を増やしてくれなんてどうやって伝えるんだろう、
びくついたりしたらどうなっちゃうんだ、とか思いつつ納得したふりをした。

手術前の状態を撮影され、看護師さんが先生を呼びに行くとき
手術台が揺れている?と感じた。
これは絶対手術するとき良くないぞ、
看護師さんに伝えようかしら、などと思っているうちに
その揺れが自分の心臓あたりのものだと気付いた。
これが例の緊張というやつか。
言っても仕方ないので黙る。
ライトの確認をされ、これまぶしそうすぎるけど大丈夫か?と思った。

先生が来ていよいよ感を感じる。
テキパキされているので事前に聞いた流れで進むことを認識し
これは流れに身を任せていくしかないと覚悟した。
しかし、痛かったら?びくついてしまったら?
……つまり自分の挙動不審さが炸裂すると危なそうだ。
とにかく自分が妙な気を起こさないように、
深呼吸などしてリラックス感を出す。
相変わらず手術台は鼓動と共に揺れているように感じる。
いや、自分が震えているだけか。

 

震えを感じる遊びをしていると、

例の立体ほくろチャンがいるあたりだけ穴が空いている
水色のペタッとするシートを顔にかけられ、
ライトがついて目を開けても眩しくないことがわかった。
マークします、と青に見えるペンでマークされふたたび写真撮影。
消毒します、と言われ赤チンのようなものを塗られる。
ふざけ癖のある自分が赤チンにキャッキャし始めるが
それどころじゃないだろ、と落ち着かせる。

「麻酔します。痛いですよ」と言われるが
いやいや歯医者でもその他でもそんなに麻酔て痛いことないでしょ、とまたやかましい自分が思ったのもつかの間、
グイイイイイと麻酔の注射針が顔を刺してきた。痛い。
声は出ないけど痛い。辛さで言うとガパオくらいかもしれない。
痛いのに10秒くらい、長いのでちょっと涙ぐんだ。
すぐ泣く。

この痛さで効いてなかったら嫌だな、と思ったら
先生が「今ここ押してるの痛いですか」と聞いてくれた。
触られていることくらいしかわからないが痛くない。
じゃ、麻酔は効いてるってことなのかな…と思うが
水色ペタリシートやら穴の周辺の皮膚はいつも通りで
何が起きているかわからないくせに本当に大丈夫なのか不安になる。

何か先生が三ミリだの一ミリだの言って
また何かをした後、「じゃこれを病理に出して」と言うのが聞こえた。
立体ほくろを取ったら病理検査に出すと言っていたのを思い出す。
もう取れたのか?1分も経ってないんじゃ…痛くないうちに…。
そしてまた先生が何かをしているので、もう縫っているのか、早いな…と思ったら追加でなにかを取ったようだった。

しばしばタオルなのか布なのかで
強めにほくろあたりをおさえられる。
ドバドバ出血していたらどうしよう、とハラハラするが
感覚のある領域はただその布を感じるばかり。

縫っているのか? 今、縫って、いるのか? とそればかり思った。
わたしが教えてもらっている手術の手順は
1.麻酔をする(痛い)
2.ほくろを取る(取った組織は病理検査に出す)
3.まわりの皮膚をキュッとシュウマイみたいに縫う(たぶん違う)
だけなので、縫えば訪れるはずのゴールに早くたどり着きたかった。

縫ってる?
縫ってる?
今縫ってるんじゃない?
この動き、縫ってるんじゃない?
などと10回くらい思い、
これで終わりかな?なんて思った後、
明らかに糸のようなものが患部まわりの皮膚をかすめ始めた。

あ、今か。
今シュウマイにされているのか。
病院が舞台のドラマでもそうであるように、
先生はきっと丁寧にシュウマイしてくれている。

たしかに、縫うのをピョピョッと済ませるはずないかぁ、と
妙に感心しつつ、
太い太い毛をビィンビィーーーンと引っ張るように縫われるのは
なんだか不思議に不安な気持ちだった。
早く終わってほしいけど、ちゃんと縫ってもらえてありがたい…
と何度も自分に言い聞かせ、
ビンと引っ張られるときに痛くならないことを祈る…うちに糸を切る気配がして、シュウマイの完成を知った。

ペタリシートを剥がされ自由になれるかと思いきや
赤チンを拭き取るというステップも残っていた。
赤チンだからだと思うが、なかなか強靭に肌に残ってしまうのか
ぐいぐい拭かれている気持ちになる。
そんなにぐいぐいやって、シュウマイがほどけたらどうする、
と思うのは勝手だがシュウマイはほどけなかかった(たぶん)。

そう言えば貼ると言われていたガーゼを貼られる。
しっかりしたテープでおさえられているのを感じる。

終了を告げられて立ち上がり髪や服を庇っていたものが取られると
テープマンになった自分と向き合った。
今日は濡らさないように、明日の朝から患部に水をかけて洗って良い、と言われる。
シュウマイを見るのは明日の朝か……というより
患部を濡らす気はないが患部が汗かいてきたらどうするんだろ、
と思うがもうあまりペラペラ喋るのが面倒になってきた。
なぜならテープマンだからだ。

市販の絆創膏でも良いと言われたが面倒なので病院で売っている小さな絆創膏を買うことにした。
1日一回取り替え。
そのときに軟膏をパッチにつける。

お会計は8500円くらい。
病院にいたのは30分弱。

そのあと処方せん薬局で軟膏と痛み止めと3日飲む薬をもらう。
これは710円。

 

濡らしてはいけない24時開始。

もともとけっこうなドジなのに、転んだりしてシュウマイがほどけたらどうしよう。

麻酔が切れてめちゃくちゃ痛かったらどうしよう。

ひとつ野暮用がありそれを今どうにか終えつつあるが、非常に緊張している。。。